株式会社ユニファ・テックは、自宅でも高いセキュリティを確保できる世界初の小型セキュアブースを開発しました。さらに、このブースを海外にも設置し、時差を活用して夜勤の負担を軽減しながら、IT技術者不足の解消につなげる事業に取り組んでいます。事業の具体的な内容と今後の展開について、代表取締役CEO兼CTOの神﨑康治さんに伺いました。

専用線で自宅から本番環境へリモートアクセスが可能

同社のセキュアブースは、インターネットを介さない専用線を通じて自宅から本番環境へリモートアクセスでき、金融機関向けの高いセキュリティ基準に準拠しています。生体認証をはじめとするIoTセンシングやAIによる監視機能を搭載し、物理的なセキュリティも万全です。また、日本・北米・欧州などで特許2件と意匠3件を出願(うち1件は国内で権利化済)しています。

セキュリティルームは規模や設備に応じて価格が変動しますが、同社では一般的に5千万円相当の設備を、およそ10分の1の価格で提供できるといいます。低価格を実現できた背景には、神﨑さんのこれまでの研究実績や銀行でのセキュリティ責任者としての経験があります。

この画期的な製品を多くの企業に導入してもらうため、販売戦略にも工夫を凝らしています。2025年春からは、1人用と2人用のブースを複数の企業オフィスに設置しています。実際に利用してもらうことで、自宅向けブースの販売拡大につなげていく計画です。

時差を活用してシステム運用者の夜勤を解消へ

ITは現代社会のインフラであり、24時間365日、安定して運用できなければ社会の機能に影響が及びます。そのためシステム運用者は夜間のトラブル対応が必須です。自宅に高いセキュリティを確保できる小型のセキュアブースがあれば在宅対応も可能ですが、神﨑さんは夜勤自体をなくすことを目指しています。

解決策として、同社は海外にセキュアブースを設置し、時差を活用して日本の夜勤を解消する事業に取り組んでいます。具体的には、新サービス「TELLAS(テラス)」を通じて、日本の日中帯に業務を完結させ、障害対応などの夜間業務はカナダ拠点やロンドン拠点と連携して対応します。こうして時差を活用した24時間日中帯対応を実現し、IT技術者の負担を軽減すると同時に、世界共通の夜勤問題にも応えていきます。

現在、大手SIerと連携して夜勤解消サービスの実証実験も進めており、今後は日本の夜勤チームをカナダに移管してさらに検証を進める計画です。この取り組みにより、夜勤に伴う負担を軽減しながら、システム運用の安定性と効率性を両立させることが期待されています。

世界初を形にするハードウェア開発の総合格闘技的挑戦

神﨑さんは、小型のセキュアブースの開発を振り返り、ハードウェアスタートアップとして直面した数々の困難を語ります。世界初のサービスを実現するためには、既存のソリューションだけでは対応できず、自ら設計から製造まで手がける必要がありました。

しかし、知見が十分でない領域でのベンダーコントロールに加え、品質管理、在庫管理、物流など、次々と課題が立ちはだかりました。とりわけ海外の法規制への対応は非常に複雑で、容易ではなかったといいます。この過程を神﨑さんは「総合格闘技のような挑戦」と表現しています。

今後は、同社のセキュアブース内で蓄積される作業ログを活用してAIを構築し、これまで人手で行っていた運用を効率化していきます。予期せぬ不正行為を自動で検知する仕組みを導入することで、生産性の向上も図ります。その結果、技術者は労働時間を短縮でき、他の業務やプライベートに時間を充てられる環境を実現します。

テクノロジーの力で誰もが豊かに暮らせる未来へ

日本では今後も少子高齢化が進み、2050年にはおよそ4人に1人が75歳以上になると見込まれています。神﨑さんは、人口動態の問題を「避けて通れない夏休みの宿題」に例え、いま手を打たなければ、将来、現役世代と引退世代の関係が逆転し、子どもたちが私たちを支える構造に転じてしまうと警鐘を鳴らしています。

もともと、第一子の誕生をきっかけに、テクノロジーを社会実装し、システムを通して永続的に家族を支えたいと志した神﨑さん。家族の幸せを守るという個人的な動機が、やがて社会全体を支える仕組みづくりへの志へと発展していきました。

そして、第二子が令和元年に誕生したことで、「人生100年時代」を生きる次世代の責任をより強く感じたといいます。第二子が100歳を迎える令和百年を人生の終着点と定め、自らの手でより良い社会を築き上げるという決意を込めて「令和百年計画」を構想しました。

「第一子がきっかけを与えてくれて、第二子が人生のゴールを見せてくれた。まさに“アルファとオメガ”です」と神﨑さんは語ります。

神﨑さんは、テクノロジーの本質的な価値は社会に実装され、人々の暮らしを豊かにしてこそ発揮されると信じています。社会に目を向け、技術を通じて未来を支えるエンジニアが増えれば、子どもたちの明るい未来を守ることができる——。その信念を胸に、今後も社会課題の解決を軸に事業拡大を通じて未来を鮮やかに彩っていきたいと力強く語りました。

This article is a sponsored article by
''.